新潟県・新潟市のいじめの認知件数
~深めよう絆にいがた県民会議 第2回総会講演会から~

2026年2月27日

新潟青陵大学 福祉心理子ども学部 臨床心理学科
准教授 佐藤 修哉

今回の講演会では、いじめ防止対策推進法(平成25年)によるいじめの定義や、最新の統計データを踏まえてお話をさせていただきました。文部科学省の「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」によれば、1,000人あたりのいじめの認知件数について、新潟県は、都道府県別にみると全国平均61.3件に対して102.5件で全国3位、政令指定都市別も併せてみると新潟市は230.8件と全国1位となっています。これは、一見すると「新潟は全国的に見ると、そんなにいじめが多い地域だったのか!」とよくない結果のように感じるかもしれません。しかし、実際にはむしろこの結果はポジティブな意味合いも多分に含んでいると思われます。

文部科学省は、「いじめが0だったと報告した学校こそ、本当に見逃しているいじめはないか注意してください」と注意喚起しています。現在の法律上のいじめの定義のポイントは「一定の人的関係があること」と「本人が苦痛を感じていること」です。何らかの関係性が存在し、本人が嫌だと感じていればいじめであり、一般にイメージされるより、だいぶ広い範囲までいじめとして認定されることになっています。定義の範囲が広いことの是非については、さまざまな議論がありますが、ここではその議論はいったん置いておきます。なぜこのような定義になっているかというと、「いじめを見逃さない」「深刻ないじめに発展させない」ために、「予防的な」観点が重視されているからです。全国的に現在の法律が施行されてから、いじめの認知件数は増え続けていますが、いじめと認定する範囲が広がったことが理由の1つだと思われます。

そう考えると、新潟県、新潟市で認知件数が多いのは、いじめの「芽」「予兆」を見逃さずに、きちんと把握し、報告していることが理由の1つなのではないかと考えられます。もちろん、実態の正確な把握のためには報告された内容を精査する必要があります。ちなみに、いじめ重大事態の1,000人あたりの発生件数については、全国平均0.11件に対して、新潟県は0.06件と平均より少なくなっています。そうすると、相対的に深刻ないじめの割合は少ない方であるということができます。いじめがあったことを隠そうとせずに、きちんと報告することは、いじめを減らす取組の第1歩です。いじめを受けてつらい思いをしているこどもたちにとっても、いじめと認定してもらえることは、その後の支援のスタートになるはずです。

今後もいじめ「見逃し」ゼロにむけた積極的な活動が、いじめ予防に対する啓発となり、数が減っていくことが期待されます。