声をかける勇気

2021年10月25日

深めよう 絆 にいがた県民会議 事務局

今回のコラムは、おとなの目線から、子ども同士の間で起こるいじめをどうやって見つければよいのか、ということについて考えてみます。

先ごろ、文部科学省が行った「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の令和2年度結果が公表されました。
その調査結果によれば、全国的にいじめの認知件数は減少したとのことです。
なるほど、いじめの数が減ったのか、と安心したいところですが、話はそう単純ではありません。

確かに、文部科学省は、いじめの認知件数が減った理由として、新型コロナウイルス感染拡大によって偏見や差別が起きないよう学校で正しい知識を教えたり、その理解を促したりしたことや、学校がこれまで以上に子どもたちに目を配って支援したことなどを挙げています。
しかし、一方で、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって生活環境が変化して、子どもたちの間の距離が広がったことや、授業や学校行事、部活動などの活動が制限された結果、子どもたちが直接対面してやりとりをする機会やきっかけが減少したことなども、理由として挙げています。
つまり、学校で顔を合わせる機会そのものが減ったために、実際のトラブルも減って、いじめの件数が減少したのではないか、というわけです。

別の調査結果では、子どもたちが「いじめを経験したことがある」と答えた割合をもとに考えてみると、いま学校が把握しているいじめの認知件数よりも、実際に起きているいじめの数はもっと多くなっていても不思議ではない、と分析されています。
つまり、おとなの目からは、いじめは相変わらず見つけにくいものとなっていて、被害を受けている子どもが自分からは言い出しにくい、周りの誰も気付かない、という隠れたいじめがまだまだたくさんあるのだ、ということです。

いじめはいつでも、どこでも、だれにでも起こるもの
おとなからは見つけにくいもの

このような意識をもって、注意深く、子どもの様子を見ていくことが大切です。

「なにかあったの?」
「辛いことがあるなら、話してごらん」

変だな、と思ったら、勇気を出して、子どもに声をかけてみる。
そんな勇気を、おとなの方こそ持たなければならないのかもしれませんね。